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投資家の確定申告徹底ガイド|損益計算から申告方法まで分かりやすく解説

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投資家のための確定申告 徹底ガイド|損益計算から申告方法まで

「投資を始めたけど、税金のこと、確定申告のこと、さっぱり分からない…」「損しちゃったんだけど、確定申告ってしなきゃダメ?」「なんかお得な方法とかないの?」

そんな投資家さんのギモンや不安を解消するために、このガイドを作りました!投資の確定申告について、基本のキから、ちょっと得する節税テクニックまで、できるだけ分かりやすく、噛み砕いて解説していきます。株、投資信託、FX、仮想通貨(暗号資産)など、いろんな投資の税金計算にも触れていくので、ぜひ参考にしてくださいね!

確定申告って聞くと「難しそう…」「面倒くさい…」ってイメージがあるかもしれませんが、ポイントを押さえれば大丈夫! この記事を読んで、サクッと確定申告を終わらせちゃいましょう!

1. 確定申告が必要?投資と税金の基本を理解しよう

まずは、「そもそも自分って確定申告が必要なの?」というところから見ていきましょう。全員が確定申告しなきゃいけないわけじゃないんですよ。

確定申告が必要な投資家とは?

ざっくり言うと、こんな人は確定申告が必要になる可能性が高いです。

  • 給与所得者(会社員など)で、投資の利益(所得)が年間20万円を超えた人: これが一番多いパターンですね。株の売却益や配当金、FXの利益などを合計して20万円を超えたら、原則として確定申告が必要です。(※注意:これは所得税の話。住民税は利益があれば金額に関わらず申告が必要なのがルールですが、所得税の確定申告をすれば住民税の申告は不要です)
  • 年間の給与収入が2,000万円を超える人: この場合は、投資の利益に関係なく確定申告が必要です。
  • 個人事業主やフリーランスの人: 事業所得など他の所得と合わせて確定申告をするので、投資の利益も一緒に申告します。
  • 「一般口座」で取引している人: 一般口座は、証券会社が年間の損益計算をしてくれないので、自分で計算して確定申告する必要があります。
  • 「特定口座(源泉徴収なし)」を選んでいて、利益が出た人: この口座も、税金が自動で天引きされないので、利益が出たら自分で確定申告が必要です。
  • 損失を繰り越したい人(繰越控除を使いたい人): 投資で損失が出た場合、確定申告をしておくと、翌年以降3年間、利益と相殺できます。これについては後で詳しく説明しますね!
  • 複数の証券会社の損益を通算したい人: A証券では利益が出たけど、B証券では損失が出た、みたいな場合に、両方の損益を合算(損益通算)して税金を計算したいなら確定申告が必要です。「特定口座(源泉徴収あり)」だけで取引していても、損益通算したいなら申告が必要になります。

ポイント! 会社員の方で一番気になるのは「年間20万円」のラインだと思います。複数の投資をしている場合は、それぞれの利益(所得)を合計して判断してくださいね。

特定口座と一般口座の違いと確定申告

投資用の口座には主に「特定口座」と「一般口座」があります。これが確定申告の手間に大きく関わってくるんです。

口座の種類 特徴 確定申告
特定口座(源泉徴収あり) ・証券会社が年間の損益を計算してくれる
・利益が出ると税金が自動で天引きされる
原則不要
ただし、損益通算や繰越控除をしたい場合は必要。
特定口座(源泉徴収なし) ・証券会社が年間の損益を計算してくれる
・税金の天引きはされない
必要(利益が出た場合)。証券会社が発行する「年間取引報告書」を使って比較的簡単に申告できる。
一般口座 ・自分で年間の損益を計算する必要がある 必要(利益が出た場合)。取引報告書などを元に自分で計算が必要で、手間がかかる。

多くの人は「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでいるんじゃないでしょうか。これなら基本お任せでOKなので楽ちんです。でも、「損しちゃったから来年の利益と相殺したいな…」とか「他の口座の損失と合算したいな…」という場合は、たとえ「源泉徴収あり」の口座でも確定申告が必要になる、ということを覚えておきましょう。

NISA口座の確定申告は?非課税制度の注意点

「NISA(ニーサ)口座なら税金かからないんでしょ?じゃあ確定申告もいらないよね?」

その通り!NISA口座(つみたてNISA、一般NISA)やiDeCo(個人型確定拠出年金)は、運用益が非課税になる嬉しい制度です。なので、NISA口座の中でどれだけ利益が出ても、確定申告をする必要はありません。

ただし、いくつか注意点があります。

  • 非課税枠には上限がある: 年間の投資額には上限が決められています。その上限を超えて投資した分は、通常の課税口座(特定口座や一般口座)での取引になり、利益が出れば税金がかかります。
  • 他の口座との損益通算はできない: NISA口座で損失が出ても、特定口座や一般口座で出た利益と相殺(損益通算)することはできません。逆も同様です。NISA口座は完全に独立しているイメージですね。
  • 損失の繰越控除もできない: NISA口座で出た損失は、翌年以降に繰り越すこともできません。

NISAはとってもお得な制度ですが、万能ではありません。これらのルールを理解しておきましょう。

2. 投資の確定申告で知っておくべき税金の基礎知識

次に、投資にかかる税金の基本的なルールを見ていきましょう。「なんの税金が、どれくらいかかるの?」という疑問にお答えします。

株式投資にかかる税金の種類:譲渡所得税と配当所得税

株式投資で利益が出た場合にかかる税金は、主にこの2つです。

  1. 譲渡所得税(じょうとしょとくぜい): 株などを売って得た利益(譲渡益)にかかる税金です。「安く買って高く売れた!」その差額にかかってきます。
  2. 配当所得税(はいとうしょとくぜい): 株を持っていることでもらえる配当金にかかる税金です。会社が儲かった利益の一部を株主に分けてくれる、あれですね。

投資信託の場合は、売却(解約)したときの利益や、分配金(普通分配金)に対して同じように税金がかかります。

FXや仮想通貨(暗号資産)の利益は、これらとは少し違って「雑所得(ざつしょとく)」という区分になります。これも後で説明しますね。

税率の計算方法:一律20.315%の内訳

じゃあ、具体的にどれくらいの税金がかかるのか?

現在のところ、上場株式などの譲渡益や配当金(申告分離課税を選択した場合)にかかる税率は、利益の大きさに関わらず一律 20.315% です。

この「20.315%」の内訳はこうなっています。

税金の種類 税率
所得税 15%
復興特別所得税 0.315% (15% × 2.1%)
住民税 5%
合計 20.315%

例えば、株を売って100万円の利益(譲渡益)が出たとすると、

100万円 × 20.315% = 203,150円

が税金として引かれる計算になります。「特定口座(源泉徴収あり)」なら、この金額が自動的に引かれて口座に入金されるわけですね。

※注意! 配当金については、「総合課税」を選んで確定申告することもできます。これは、給与など他の所得と合算して、所得税率(累進課税)で計算する方法です。所得が少ない場合は、総合課税を選んだ方が有利になることもありますが、ちょっと複雑なので、ここでは「申告分離課税(一律20.315%)」を基本として説明しますね。

損益通算とは?損失が出た場合の税金対策

投資にはリスクがつきもの。時には損失が出てしまうこともありますよね。そんな時に知っておきたいのが「損益通算(そんえきつうさん)」という仕組みです。

これは、同じ年の利益と損失を合算できる制度のこと。

例えば、

  • A株の売却で 50万円の利益
  • B株の売却で 30万円の損失

という場合、損益通算をすると、

50万円(利益) – 30万円(損失) = 20万円

となり、この20万円に対してのみ税金(20.315%)がかかることになります。もし損益通算しないと、50万円の利益に対して税金がかかってしまうので、かなりお得ですよね!

損益通算ができるのは、主に以下の間です。

  • 上場株式等の譲渡損失 ⇔ 上場株式等の譲渡益
  • 上場株式等の譲渡損失 ⇔ 上場株式等の配当金(申告分離課税を選択した場合)
  • 投資信託の解約損失 ⇔ 投資信託の分配金(申告分離課税を選択した場合)

ポイント! 損益通算をするためには、確定申告が必要です。「特定口座(源泉徴収あり)」だけで取引していても、損益通算したい場合は忘れずに申告しましょう!

※注意! FXや仮想通貨の利益(雑所得)と、株式や投資信託の利益(譲渡所得・配当所得)は、原則として損益通算できません。ただし、FXなどの「先物取引に係る雑所得等」の間では損益通算が可能です。

3. 【図解】投資の確定申告、損益計算のステップ

さあ、ここからは具体的な損益計算の方法を見ていきましょう。投資の種類によって計算方法が少し違うので、それぞれ解説しますね。(図解と言いつつ、テキストでの解説がメインになりますが、分かりやすく説明します!)

株式譲渡益の計算方法:取得費と譲渡費用の把握

株を売って得た利益(譲渡所得)は、以下の計算式で求めます。

譲渡所得 = 譲渡価額(売った金額) – (取得費 + 譲渡費用)

  • 譲渡価額: 株を売った時の金額です。これは分かりやすいですね。
  • 取得費: その株を買った時の金額(購入代金)+ 購入時の手数料などです。同じ銘柄を何回かに分けて買っている場合は、平均取得単価を計算する必要があります(通常、証券会社が計算してくれます)。もし取得費が分からない場合は、売却代金の5%を取得費とすることができますが、実際の取得費より不利になることが多いです。できるだけ購入時の記録は残しておきましょう。
  • 譲渡費用: 株を売るためにかかった費用、主に売却時の手数料などです。

計算例:

  • 1株1,000円で100株購入(購入手数料 500円)→ 取得費 = 100,000円 + 500円 = 100,500円
  • その後、1株1,500円で100株すべて売却(売却手数料 700円)→ 譲渡価額 = 150,000円、譲渡費用 = 700円

この場合の譲渡所得は、

150,000円 – (100,500円 + 700円) = 48,800円

となります。この48,800円に対して税金がかかるわけですね。

ポイント! 特定口座なら、証券会社が発行する「年間取引報告書」に譲渡価額、取得費、差引金額(譲渡所得)が記載されているので、自分で計算する手間が省けます。

配当金の計算方法:源泉徴収額の確認

配当金は、受け取る際にすでに税金(20.315%)が源泉徴収されていることがほとんどです。

  • 特定口座(源泉徴収あり)の場合: 配当金も自動的に損益計算に含まれ、税金が天引きされます。
  • 証券会社の口座で受け取らない場合(銀行振込など): 「配当金計算書」や「支払通知書」などが送られてきます。ここにも源泉徴収された税額が記載されています。

確定申告で配当所得を申告する場合(例えば、損益通算したい、総合課税を選びたいなど)は、これらの書類を見て、受け取った配当金の額面(税引前)と、源泉徴収された税額を確認します。

ポイント! 配当金を確定申告すると、配当控除(総合課税の場合)や、源泉徴収された税金の還付(損益通算で税金が引きすぎだった場合など)を受けられる可能性があります。

投資信託の損益計算:分配金と解約益

投資信託の利益も、基本的には株式と同じように考えます。

  • 解約(売却)益: 株の譲渡益と同じ計算です。

    譲渡所得 = 解約価額 – (個別元本 + 解約費用)

    個別元本は、投資家ごとの平均取得価額のこと。これも「年間取引報告書」などで確認できます。

  • 分配金: 投資信託の分配金には「普通分配金」と「特別分配金(元本払戻金)」の2種類があります。
    • 普通分配金: 運用で得た利益から支払われるもので、課税対象です。配当所得として扱われます。
    • 特別分配金(元本払戻金): 実質的に元本の一部が払い戻されているものなので、非課税です。その代わり、個別元本が減額されます。

どちらの分配金かは、運用会社から送られてくる「取引報告書」などで確認できます。税金の計算では、普通分配金だけを対象にするのがポイントです。

FXの損益計算:スワップポイントと為替差益

FX(外国為替証拠金取引)の利益は、主に以下の2つを合計して計算します。

  • 為替差益(決済益): 通貨を売買したときの差額による利益です。「円安の時にドルを買って、円高の時に売る」といった取引で得られる利益ですね。
  • スワップポイント: 2国間の金利差によって得られる利益(または損失)です。高金利通貨を買って低金利通貨を売るポジションを持っていると、毎日少しずつ利益が積み重なっていきます(逆だと損失になります)。

年間の損益は、

FXの所得 = 年間の為替差損益 + 年間のスワップポイント損益 – 必要経費

となります。必要経費には、取引手数料や、FXに関するセミナー代、書籍代などが認められる場合があります。

※重要! FXの利益は「雑所得」の中でも「先物取引に係る雑所得等」に分類され、申告分離課税が適用されます。税率は株式と同じ一律20.315%です。株式の譲渡所得などとは損益通算できませんが、他の「先物取引に係る雑所得等」(例:CFD、商品先物、日経225先物など)とは損益通算が可能です。

仮想通貨(暗号資産)の損益計算:計算の複雑さに注意

仮想通貨(ビットコインなど)の利益も確定申告が必要です。利益が発生する主なタイミングは以下の通りです。

  • 仮想通貨を売却して日本円にした時
  • 仮想通貨で他の仮想通貨を購入した時
  • 仮想通貨で商品やサービスを購入した時
  • マイニングやステーキングなどで仮想通貨を取得した時

仮想通貨の所得計算は、非常に複雑になりがちです。なぜなら、取引の都度、日本円に換算した価額で取得価額や売却価額を計算する必要があるからです。

計算方法には主に「移動平均法」と「総平均法」があります。一度選択したら、基本的には継続して同じ方法で計算する必要があります。

仮想通貨の所得 = 総収入金額(売却価額など) – 必要経費(取得価額など)

必要経費には、取得価額のほか、送金手数料、関連書籍代、セミナー代などが含まれる可能性があります。

※重要! 仮想通貨の利益は、原則として「雑所得」の中でも「その他の雑所得」に分類され、総合課税の対象となります。これは、給与所得など他の所得と合算され、所得が多いほど税率が高くなる累進課税が適用されることを意味します(所得税率は5%~45%)。株式やFX(申告分離課税)とは扱いが大きく異なるので注意が必要です!

ポイント! 仮想通貨の損益計算は複雑なので、取引所の年間取引報告書(対応していれば)や、専用の計算ツール、税理士への相談などを活用するのがおすすめです。取引履歴はしっかり保存しておきましょう。

4. 投資の確定申告、書類の準備と作成方法

損益計算ができたら、いよいよ確定申告書の作成です。ここでは必要な書類と作成・提出方法について解説します。

確定申告に必要な書類リスト:特定口座年間取引報告書、他

確定申告には、主に以下の書類が必要です。自分の状況に合わせて準備しましょう。

  • 確定申告書: 税務署や国税庁のウェブサイトから入手できます。「確定申告書B」が基本ですが、令和4年分以降は様式が統合されています。
  • 源泉徴収票(給与所得者・年金受給者など): 会社員の方などは、勤務先から発行されるもの。
  • 特定口座年間取引報告書: 特定口座で取引した場合、証券会社から1月頃に送られてきます。損益計算や納税額が記載されていて、申告書作成のベースになります。(※e-Taxで申告する場合、記載内容を入力すれば提出は省略できます)
  • 一般口座の取引報告書や計算明細書: 一般口座で取引した場合は、自分で年間の損益を計算した明細書を作成する必要があります。取引報告書はその根拠資料となります。
  • 配当金支払通知書など: 配当金を証券口座以外で受け取った場合などに必要です。
  • FX・仮想通貨の年間損益報告書など: 利用している取引業者が発行してくれる場合が多いです。発行されない場合は、自分で取引履歴から計算した明細書を作成します。
  • 必要経費の領収書や記録: FXや仮想通貨などで経費を計上する場合に必要です。
  • マイナンバー(個人番号)が確認できる書類: マイナンバーカード、または通知カード+本人確認書類(運転免許証など)。
  • 銀行口座の情報: 還付金がある場合に、振込先の口座情報が必要です。
  • (該当する場合)各種控除証明書: ふるさと納税の寄付金受領証明書、生命保険料控除証明書、医療費の領収書など。

ポイント! 「特定口座年間取引報告書」は超重要書類です! これがあれば、申告書の作成がぐっと楽になります。

確定申告書の書き方:国税庁の確定申告書作成コーナーを活用

「確定申告書って、手書きだと難しそう…」と感じる人も多いはず。そんな時は、国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」がめちゃくちゃ便利です!

画面の指示に従って、収入金額や控除額などを入力していくだけで、自動的に税額が計算され、確定申告書を作成できます。「特定口座年間取引報告書」の内容を入力する欄もあるので、投資の申告もスムーズに進められますよ。

作成した申告書は、印刷して税務署に提出することも、e-Taxで電子送信することもできます。

e-Taxでの確定申告:メリットとデメリット

e-Tax(イータックス)は、インターネット経由で確定申告ができるシステムです。自宅から申告できるので、とっても便利!

メリット:

  • いつでもどこでも申告可能: 税務署に行かなくても、24時間いつでも自宅のPCやスマホから申告できます(メンテナンス時間を除く)。
  • 添付書類の提出省略: 源泉徴収票や特定口座年間取引報告書など、一部の書類は内容を入力すれば提出を省略できます(ただし、5年間の保管は必要)。
  • 還付が早い: 税金の還付がある場合、書面提出よりe-Taxの方が早く処理される傾向があります(通常3週間程度)。

デメリット:

  • 事前準備が必要: マイナンバーカードと、それを読み取るためのICカードリーダライタ、またはマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンが必要です。
  • 初期設定が少し面倒な場合も: 初めて利用する場合、利用者識別番号の取得や設定に少し手間取るかもしれません。

最近はスマホでの申告もかなり簡単になってきているので、一度試してみる価値はアリだと思います!

確定申告書の提出方法:税務署への持参、郵送、e-Tax

作成した確定申告書の提出方法は、主に以下の3つです。

  1. 税務署の窓口に持参: 税務署の開庁時間内に直接提出します。不明点があれば、その場で質問できる場合もありますが、申告期間中は非常に混雑します。時間外収受箱に投函することも可能です。
  2. 郵送: 所轄の税務署宛に郵送します。信書扱いになるので、「郵便物(第一種郵便物)」または「信書便物」として送る必要があります。締切日の消印有効です。控えが必要な場合は、切手を貼った返信用封筒を同封しましょう。
  3. e-Taxで送信: 「確定申告書等作成コーナー」などから電子データで送信します。提出の手間が最もかからず、おすすめです。

自分に合った方法を選んで、期限内に提出しましょう!

5. 投資の確定申告で得する?節税対策と注意点

最後に、確定申告をすることで受けられるメリット(節税)や、注意しておきたい点について見ていきましょう。

繰越控除とは?損失を繰り越して節税

投資で損失が出てしまった場合に、ぜひ活用したいのが「繰越控除(くりこしこうじょ)」です。

これは、その年に損益通算してもなお残ってしまった損失を、翌年以降最大3年間繰り越して、将来の利益と相殺できる制度です。

例:

  • 1年目:株で50万円の損失発生 → 確定申告で損失を繰り越し
  • 2年目:株で30万円の利益発生 → 1年目の損失50万円と相殺。利益は0円になり、まだ20万円の損失が残る → 確定申告で残りの損失20万円を繰り越し
  • 3年目:株で40万円の利益発生 → 2年目から繰り越した損失20万円と相殺。利益は20万円(40万-20万)となる → この20万円に対して税金がかかる

ポイント! 繰越控除を使うためには、損失が出た年だけでなく、その後、取引がない年や利益が出た年も、毎年連続して確定申告をする必要があります。これを忘れると、繰越控除の権利がなくなってしまうので要注意!

FXなどの「先物取引に係る雑所得等」の損失も、同様に翌年以降3年間繰り越すことができます(ただし、株式等の損失とは合算できません)。仮想通貨の損失(その他の雑所得)は、残念ながら繰越控除の対象外です。

特定口座と一般口座、どちらがお得?

これは投資家のスタイルや状況によりますが、一般的な考え方は以下の通りです。

  • 確定申告の手間を省きたい、細かい計算は苦手な人:

    特定口座(源泉徴収あり)がおすすめ。基本お任せでOK。
  • 損益通算や繰越控除を積極的に活用したい人:

    特定口座(源泉徴収なし)または一般口座。利益が出ても自動で税金が引かれないので、確定申告でしっかり損益を管理したい人向け。ただし、一般口座は自分で損益計算をする手間がかかります。
  • 年間の利益が20万円以下の会社員(他に確定申告する理由がない場合):

    特定口座(源泉徴収あり)を選んでおけば、利益が20万円以下でも税金は引かれますが、確定申告の手間は省けます。特定口座(源泉徴収なし)一般口座で利益が20万円以下なら所得税の申告は不要ですが、住民税の申告は別途必要になる場合があります(自治体による)。

多くの場合は「特定口座(源泉徴収あり)」が便利ですが、節税を意識するなら他の選択肢も検討してみましょう。

ふるさと納税と投資の税金対策の組み合わせ

ふるさと納税をしている投資家さんは、確定申告をすることで、投資の申告とふるさと納税の寄付金控除申請をまとめて行うことができます。

通常、会社員の方などがふるさと納税をする場合、「ワンストップ特例制度」を利用すれば確定申告は不要ですよね。でも、投資の利益があって確定申告をする場合は、ワンストップ特例は利用できません

確定申告をする際に、寄付金受領証明書をもとに、ふるさと納税の寄付額を「寄付金控除」の欄に忘れず記入しましょう。これで、所得税の還付や住民税の控除が受けられます。

ポイント! 投資の確定申告が必要になったら、ワンストップ特例を申請済みでも、改めて確定申告で寄付金控除を申請し直す必要があります。

確定申告の期間と遅れた場合のペナルティ

確定申告の期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。(※還付申告の場合は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。)

もし、この期間内に申告・納税を忘れてしまうと、ペナルティが課される可能性があります。

  • 無申告加算税: 期限内に申告しなかった場合に課される税金。納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合で課されます(税務署の調査を受ける前に自主的に申告すれば5%に軽減)。
  • 延滞税: 納付期限(原則3月15日)までに税金を納めなかった場合に課される、利息のような税金。納期限の翌日から納付する日までの日数に応じてかかります。

うっかり忘れていた、とならないように、早めの準備を心がけましょう!

税務署への相談:確定申告で困った時の相談先

「やっぱり自分でやるのは不安…」「ここがよく分からない…」という場合は、専門家に相談するのも手です。

  • 税務署: 確定申告の時期には、無料の相談窓口が開設されることが多いです。一般的な質問であれば、電話相談なども受け付けています。ただし、具体的な節税アドバイスなどは期待できない場合が多いです。

税理士に依頼するメリット:複雑なケースや節税対策

  • 税理士: 税金のプロフェッショナルです。
    • メリット:
      • 複雑な損益計算(特に仮想通貨など)も正確に行ってくれる。
      • 個別の状況に合わせた最適な申告方法や節税対策をアドバイスしてくれる。
      • 面倒な書類作成や手続きを代行してくれるので、時間と手間が省ける。
      • 税務調査が入った場合の対応も任せられる。
    • デメリット:
      • 費用がかかる(相談内容や依頼範囲によります)。

取引の種類が多い、利益額が大きい、一般口座での取引がある、仮想通貨の計算が複雑、節税について詳しく相談したい、といった場合は、税理士への依頼を検討する価値は十分にあります。


投資家の確定申告、いかがでしたか? 少しは「難しそう…」というイメージが和らいだでしょうか。

特に「特定口座(源泉徴収あり)」を利用していて、他に申告することがなければ、基本的にはお任せでOKです。でも、損益通算や繰越控除といった制度を知っていると、払いすぎた税金を取り戻せたり、将来の税金を抑えられたりする可能性があります。

まずはご自身の取引状況を確認して、「確定申告が必要か?」「確定申告した方が得か?」を考えてみてくださいね。この記事が、皆さんのスムーズな確定申告のお役に立てれば嬉しいです!